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デジタル化・AI導入補助金と事業承継・M&A補助金公式資料に書かれた不採択・不備・差し戻しの理由

制度別ガイドデジタル化・AI導入補助金・事業承継・M&A補助金・Jグランツ

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)と事業承継・M&A補助金について、公募要領が示す審査項目、加点・減点、不採択や取消になる条件を整理しました。Jグランツで差し戻されたときに表示されるコメントの扱いもあわせて説明します。

この記事は誰のためか、読むと何がわかるか

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)または事業承継・M&A補助金で不採択になった方、あるいはJグランツで申請を差し戻された方に向けた記事です。

読むと、次のことがわかります。

  • 2つの補助金の公募要領が示す審査項目と、加点・減点
  • 公式資料が「不採択」「取消」と書いている条件
  • Jグランツ(国の補助金の電子申請システム)で差し戻されたとき、何が表示されるか

どちらの補助金も、個別の不採択理由は開示しないとしています。デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領は、審査内容を開示せず、事務局から通知する事項以外の不採択理由も開示しないとしています。事業承継・M&A補助金の16次公募要領は、採択されなかった理由などの問い合わせに一切応じないとしています。

デジタル化・AI導入補助金:審査項目と減点

採択の状況(2026年、通常枠)

締切回公表日申請交付決定割合
1次2026年6月18日2,02889143.9%
2次2026年7月23日1,87981943.6%
3次2026年9月2日1,91380742.2%

件数は、事務局サイト「交付決定事業者一覧」の「申請数および交付決定数」(2026年9月2日更新)によります。この補助金では、採択を「交付決定」として公表しています。3次の件数は、中小企業庁のミラサポplus(2026年9月3日)でも同じです。割合は件数から当メディアが計算したもので、小数第2位を四捨五入しています。3回とも、申請の半数以上が交付決定に至っていません。

審査項目(通常枠)

公募要領によると、事務局が審査し、有識者を含む外部審査委員会の意見を聴いて採択を決めます。原則として提出書類だけで審査されます。主な審査項目は次のとおりです(要約)。

  • 事業面:自社の経営課題を理解し、具体的な問題意識を持っているか。課題や将来計画に対して改善すべき業務の流れ(プロセス)が、導入するITツールの機能と合っているか。業務の高度化やデータ連携で継続的に生産性を高められるか。セキュリティ対策。
  • 計画目標値:労働生産性の向上率。
  • 政策面:国の関連事業への取組、国が推進するセキュリティサービスの選定、賃上げへの取組。

特に「課題」と「ツールの機能」の対応は、申請書の中で読み手に伝わる形になっているかを確かめたい点です。

減点と「不採択とする」と明記された条件

公募要領は、次の場合を減点としています(要約)。

  • IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた
  • 2026年のインボイス枠で申請中、または交付決定を受けた。会計・受発注・決済の同じ機能のツールを導入する場合はさらに減点
  • IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアと、業務プロセスが重複する
  • 賃上げの加点を受けて採択されたのに、要件を達成できなかった

このうちプロセスの重複については、プロセスが完全に一致する場合は不採択とすると明記されています。過去に交付決定を受けている事業者は、今回のツールが前回とどう違う業務を対象にしているかを、まず確かめてください。

なお、加点の要件を達成できなかったことが効果報告で報告されると、そこから18か月間、中小企業庁所管の補助金の申請で、正当な理由がない限り大幅に減点されます。

加点

公募要領と加点項目一覧(2026年6月3日更新)には、クラウド製品の選定、セキュリティお助け隊サービスの選定、インボイス対応製品の選定、賃上げ計画、健康経営優良法人、えるぼし・くるみん認定など15項目が載っています。枠ごとに使える加点が違うので、加点項目一覧の対応表で確かめる必要があります。

提出前後の注意

  • 提出した交付申請は、結果の公表まで取りやめることができません。提出前に、内容の相違や不足がないかを確かめるよう求められています。
  • 事務局が不備の訂正を求める場合があり、不備が解消されてから改めて審査し、採否を決めます。
  • 申請者の基本情報(メールアドレスなど)は申請者自身が管理するものとされています。第三者が管理するアドレスなどで疑いがある場合、事務局が確認し、申請者自身が行うべき手続きを行っていないと判断すると、申請の取消などの対象になります。
  • 賃上げ計画を従業員に表明したと申告しながら実際には表明していなかった場合、交付決定は取り消されます。

事業承継・M&A補助金:資格審査と書面審査

採択の状況

公表されている件数は次のとおりです。いずれも申請件数と採択件数のみで、不採択の理由別の内訳は公表されていません。

公募回採択の公表日申請採択割合
11次2025年7月11日590件359件60.8%
12次2025年10月27日742件453件61.1%
13次2026年1月15日481件293件60.9%
14次2026年5月15日512件311件60.7%
15次2026年9月11日551件338件61.3%

件数は事業承継・M&A補助金事務局サイトのお知らせによります(12次は中小機構の発表でも同じ)。割合は件数から当メディアが計算したもので、小数第2位を四捨五入しています。どの回も、申請のおよそ4割が採択に至っていません。

審査の流れと4つの着眼点(16次・事業承継促進枠)

16次公募要領によると、審査は2段階です。

  1. 資格審査:すべての申請について、補助対象者・補助対象事業・補助上限額などに合っているかを確かめます。
  2. 書面審査:資格審査を通った申請を、事務局と外部有識者の審査委員会が次の4つの着眼点で審査します。
  • 取組の目的・必要性:承継予定者の取組が、自社の成長や地域経済に役立つか
  • 取組の実現可能性:取組の考え方と具体化の方法がはっきりしているか、人員確保のめどがあるか、販売先などの事業パートナーが明確か
  • 取組の収益性:狙う顧客と市場がはっきりしているか、ニーズを把握しているか、収益の見通しが妥当で信頼できるか
  • 取組の継続性:計画どおりに進まない場合の対応、実施内容とスケジュールの明確さ、売上・利益計画の妥当性

書面審査で評価が伸びなかった可能性がある場合は、この4つの見出しごとに、申請書に根拠が書かれているかを確かめるのが出発点になります。

加点・減点

16次の加点は、中小会計要領・指針の適用、経営力向上計画などの認定、健康経営優良法人、事業継続力強化計画、えるぼし・くるみん、賃上げの表明(給与支給総額の上昇率2%以上を表明し達成)など10項目です。賃上げの加点を受けて達成できなかった場合は、事業化状況報告から18か月間、中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されると13次公募要領に書かれています。

不採択・取消になる条件

公募要領は、次の点を明記しています(要約)。

  • 申請者自身による申請と認められない場合は、不採択または交付決定の取消です。同じパソコンから大量の申請がある場合は、個別に事情を聞く可能性があるとしています。
  • 行政書士でない者が報酬を得て申請書を作成した場合は、行政書士法違反の可能性があり、交付決定後に判明すれば取消の可能性があるとしています。
  • 反社会的勢力に当たる場合は、交付決定を行いません。
  • 交付決定の後でも、契約の不備、相見積の未取得や不備、支払方法・支払者の不備などがあれば、交付額が減額される場合があります。

Jグランツで差し戻されたときに表示されるもの

デジタル庁のJグランツ事業者向けQA一覧(2026年5月28日作成)によると、扱いは次のとおりです。

  • 申請に不備があり事務局から差し戻されると、ステータスが「差戻し対応中」になり、マイページから編集してもう一度提出できます。
  • 申請画面の上部に「差戻し/棄却コメント」が表示される場合があります。差し戻しや棄却はメールでも通知され、メールに事務局のコメントが書かれています。
  • 「不採択の理由を知りたい」という質問には、審査結果の理由は公開していないと回答しています。棄却の理由をどこまで伝えるかは補助金ごとに異なるため、公募要領などで申請情報に不備がないかを確かめるよう案内しています。
  • 提出済みの申請は、事業者側では編集できません。誤りや添付漏れの修正は、補助金ごとの例外的な対応になります。

差し戻しのコメントは、不採択の理由ではありませんが、事務局がどの書類・どの項目に問題を見たかを示す数少ない公式の手がかりです。コメントを保存しておき、次に申請するときに同じ点を繰り返さないようにしてください。

参考:他の事務局が示した書類不備の例

書類不備の具体例を公式に示した資料として、事業再構築補助金事務局の「電子申請にあたってご注意いただくこと」があります。この資料は、書類の不備などで申請要件を満たさなかった申請が多かったと述べ、例として次を挙げています。

  • 金融機関・認定支援機関の確認書の法人名が申請者と違う、または申請者名で作られている
  • 必要な財務情報の添付漏れ
  • 添付書類にパスワードがかかっている、破損している、不鮮明、白紙

制度は違いますが、名義の不一致やファイルの状態は、電子申請に共通する確認点です。

次にとる行動

  1. 応募する公募回の公募要領と、加点項目一覧を入手します。
  2. デジタル化・AI導入補助金では、過去の交付決定やインボイス枠との関係で減点・不採択に当たらないかを先に確かめます。
  3. 事業承継・M&A補助金では、4つの着眼点ごとに申請書の記載を対応づけます。
  4. Jグランツの差戻し・棄却コメントがあれば、それを起点に書類を見直します。

不採択の原因が書類や記載の一部にとどまる場合、今ある申請書を手直しすることで、次の公募で採択に近づける可能性があります。


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当メディアは、記事で紹介した制度の事務局・官公庁とは関係がありません。

出典

いずれも取得日は2026年10月2日です。

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